7-2.かんきつの発生害虫における抵抗性リスク評価 (概観の仮想事例)

 かんきつ栽培における殺虫剤抵抗性リスク評価の仮想事例で、主に害虫種による抵抗性リスクの違いを概観した(表6)。この場合は化学農薬以外のIPM資材を使用しない場合を想定しているため、抵抗性リスクは比較的高く評価されている。防除の重要性と抵抗性対策の重要性は異なるため、この事例では,果実となる花を加害する訪花害虫類(ハナムグリ類など)の防除の重要性は高いが、抵抗性総合リスク値はチャノキイロアザミウマよりも低く評価されている。
 この事例の抵抗性対策として次のことが考えられる。特にミカンセーフ剤のチャノキイロアザミウマや、ダニカンリ剤のミカンハダニの防除では、抵抗性総合リスク値が36と最も高い。そのため、薬剤ローテーション防除だけでなく、例えば天敵等のIPM技術を駆使した防除へ見直すことが勧められる。
 防除の重点害虫であるゴマダラカミキリ、カイガラムシ類、カメムシ類やミカンサビダニに対しても、薬剤によっては重点的な抵抗性対策実施の目安となる「リスク値が12」であるため、防除暦などであらかじめ抵抗性対策を注意喚起することが必要である。
 この事例で薬剤による抵抗性リスクの違いを考える。それぞれの害虫で,抵抗性総合リスク値がミカンセーフ剤では高い点数だが、ケムシトラン剤では低い点で評価されている。これは、ケムシトラン剤は抵抗性報告事例がそれ程多くない殺虫剤を想定しているためである。抵抗性リスク評価基準書では、抵抗性の報告事例が多い殺虫剤では(例:ミカンセーフ剤)ではリスク値が6点と最も高く、新規開発剤は抵抗性事例が無いので1点と最も低い点数となる。その中間の薬剤(例:ケムシトラン剤)は4点となる。

表6 かんきつ害虫における殺虫剤抵抗性リスク評価 (同一地域の防除暦)/仮想事例

注)この事例では,栽培・地域リスクの違いは、各害虫の発生量が異なることによる。
 抵抗性総合リスク値が12を超える場合は、抵抗性対策の実施が特に重要である。