表7に各種野菜を加害するナミハダニの殺虫剤抵抗性リスク評価の仮想事例を示し、主に殺ダニ剤の種類と地域による抵抗性リスクの違いを比較した。栽培・地域リスクでは、主に地区による化学農薬以外のIPM技術の採用の有無を考慮した。また、ハダニでは圃場で局在的に抵抗性が発達する事例が多いので、圃場毎の薬剤感受性検定の結果も参考にした。
ハダニ類では天敵のカブリダニ類や紫外線による物理的防除が実用化されている。このような農薬に頼らない技術を殺ダニ剤防除と併用することは、基本的な防除対策だけでなく抵抗性対策としてもすすめられる。例えば、IPM技術を積極的に採用しているC地区と採用していないA地区とでは抵抗性総合リスクに4倍の差がある。また、2種の殺ダニ剤の比較では、ダニカンリ剤とハダニレス剤では抵抗性総合リスク値は同じであるが、それぞれの薬剤感受性の概要は異なっている。そのため、ダニカンリ剤では使用制限も含めた抵抗性対策が必要となる。
新規に開発されたダニシャット剤では、抵抗性リスクは現状では低いが、剤の延命のためにも抵抗性対策を考慮した使用方法をあらかじめ計画することが推奨される。
表7.野菜のナミハダニにおける殺ダニ剤抵抗性リスク評価/仮想事例
注) この事例では、栽培・地域リスクの違いは、主に化学農薬以外のIPM技術の駆使の有無を考慮した。
備考欄に、薬剤感受性検定の結果概要を記載した。
抵抗性総合リスク値が12を超える場合は、抵抗性対策の実施が特に重要である。