2.殺虫剤リスク

 殺虫剤の作用機構および系統(以下,系統)を表1の評価基準によって「高、中、低」に3区分してそれぞれ固有のリスク値「6、4、1」を付した。評価は主に過去の抵抗性発達の事例等を基盤に行った。
 具体的な殺虫剤の系統のリスク区分は表1に示した。但し、抵抗性の事例が少ないものは低リスクとも考えられるが、評価が不十分とならざるを得ない場合もある。そのため、日本で市販されている殺虫剤や系統の全てが記載されているわけではない。新たに開発された新規系統の剤は低リスクに分類され、使用にともない適宜見直す。
 後述するが、各地区で実施された薬剤感受性検定の結果は、栽培・地域リスクに反映され、固有値である殺虫剤リスク値には影響しない。同じ系統・剤であっても、抵抗性個体群の分布の地域差で、防除効果や抵抗性リスクは異なるためである。同様に、害虫種ごとに同じ系統を異なる殺虫剤リスク区分へ細分化しない。
 また、殺虫剤リスクは、系統や個々の剤の基本的な性能と防除効果を評価するものでない。また、その系統の剤が、抵抗性を獲得しやすい特性を本来持つか否かを示すのではなく、その剤の使用により抵抗性の分布が拡大するリスクを意味する。

表1.殺虫剤リスクの評価基準